微分積分学第一 P
大学名 | 東京工業大学 |
授業名 | 微分積分学第一 P |
担当教官 | 池田 和正 |
時間割 | 火曜日1-2時限開講 W521 |
単位 | 講義:2 |
指定教科書
有馬哲・石村貞夫「よくわかる微分積分」(東京図書)
よくわかる微分積分
有馬 哲・石村 貞夫 東京図書 |
授業計画
教科書に沿って進め, 60分講義, 30分小テストをする予定です.
試験は最も効率的な講義です. 他人の話を聞いたり, 本を読むより,
自分の頭で問題を考えて, 自分の手を動かして計算した方がずっと理解が
進むので, 中間試験を複数回やったこともあるのですが,
作問や採点に膨大な手間がかかるため止めました.
小テストは, 授業のフィードバックの意味もありますが,
わからないことの質問や, 教室の不具合(寒い暑い, 暗い眩しい,
広くて声が聞こえない, 黒板が遠い小さい隠れる白くなる
チョークの乗りが悪いetc.)の文句も書いていただいて構いません.
随時, 大学側へ報告して, 教室変更などの交渉をします.
授業に集中してもらうため, プリントは配ったとしても1枚とします.
他人のノートの複写などの資料を集めて安心してしまうことのないように.
まだ, 学科のカリキュラムや日程表や教科書が手元に来ていないので,
暫定的に昨年と同じものを書いておきます.
試験の日程など, 変更の可能性があるので, 授業中の指示を聞き逃さないこと.
回 実施日 内容
01 04/13 コーシー・シュワルツの不等式. 三角不等式. ε-N論法.
02 04/20 ボルツァノ・ワイエルシュトラスの定理. コーシ列. 完備性. 全射, 単射.
03 04/27 定義域. 終域. 値域. ε-δ論法. 上界. 上限. 下界. 下限.
☆ 05/04 緑の日で休み.
04 05/11 集積点. 閉包. 開核. 内点. 稠密. 上極限, 下極限, 開集合, 閉集合. コンパクト.
05 05/18 コンパクト集合内の無限点列は, 収束する部分列を持つ. コンパクト集合上の連続関数は, 最大値・最小値をもつ. 一様連続. リプシッツ連続. ランダウの記号.
06 05/25 1次微分形式. ライプニッツの公式. 逆三角関数とその導関数. 双曲線関数とその逆関数.
07 06/01 2次近似式と凹凸. テーラーの定理. マクローリンの定理. コーシーの平均値の定理. テーラー展開. マクローリン展開.
08 06/08 前期中間試験.
09 06/15 2項定理の拡張. ヘルダーの不等式. ミンコフスキーの不等式. l^p 距離. エンセンの不等式.
10 06/22 ロピタルの定理. 偏導関数. C^1級. C^2 級なら f_{xy}=f_{yx}.
11 06/29 2変数関数の連続性. 偏導関数が連続でない例. 全微分(1次微分形式). C^1級なら全微分可能. 接平面の式.
12 07/06 合成関数の微分. f(x,y)=0 の法線ベクトル. 鎖公式. ヤコビ行列. 偏微分作用素の極座標への変換. 2変数のテーラー展開, マクローリン展開.
13 07/13 2変数1次関数のグラフ. 2変数2次関数のグラフ. 鞍点. 1次近似式は節平面の式. ヤコビベクトル. ヘッセ行列.
14 07/20 ヘッセ行列の固有値が全て正なら極小, 全て負なら極大. ラグランジュの未定乗数法.
15 07/27 前期期末試験.
シラバスを一度決めたら2度と変えないといった, お役人的姿勢はとリません.
生徒の大半を置いてけぼりにするような講義では意味がないので, 生徒の顔を見たり, 小テストで理解度を調べながら,
臨機応変に取捨選択して講義します.
通常の教科書では, 前期が1変数, 後期が多変数となっていますが, 本学では, 前期が微分, 後期が積分と定められています.
図形への応用を中心に, 幾何的なイメージを重視し, マニアックな計算に深入りしないようにします.
手に取って扱える具体例を挙げて講義し, 定義→定理→証明の羅列といった抽象論は避けます.
なお, 学校は接客業ではないので, 「満足度」の向上を目指して授業することはありません.
今, 辛い思いをして頑張ると, あのとき勉強してて良かったと, 30歳, 40歳になって感じます.
逆に, 怠けて楽をすると, 勉強しておけばよかったと
将来, 痛切に感じることになります. そのときになって
初めて, 過去の自分の態度が満足いくものであったか
どうかが判断できるようになります.
教室で「熱意」を演出することもありません. 黒板に向って淡々と授業をします.